電波とは何か?

2007.7.4 平野拓一

電波とは電磁波という物理現象の一部(3THz以下の周波数)を表す法律用語であり、電波法で定められている。「電磁波」と言った方が同じ物理現象を意味する上でより広く一般性があるので、以降では電波、光(これも電磁波の一部)などの同じ物理現象を総称して電磁波と言う。


図1 電磁波スペクトルの分類と名称


図2 光のスペクトル

図1に電磁波のスペクトルを示す。周波数f、あるいはそれと1対1に対応する波長λで分類する。周波数とは2章で述べるが、1秒間当たりの電磁波の振動回数であり、波長とは時間的に周期波形を励振した電磁波の一周期分の長さである。これらは光速cとc=λfの関係がある。

図1を周波数の低い方から見ると、特殊だが0Hzがある。これは乾電池などで使われる直流である。次に、50Hz, 60Hzには日常使われている交流電源がある。波長が(地球の直径に比べても)非常に長く、効率よく放射するアンテナは巨大になってしまうので、空間を飛ばす目的の電磁波としては使われない。数10kHz付近からは波長が数kmとなり、効率の良いアンテナを作るのが現実的に可能とり、実際に空中に飛ばす電波として使われる。例えば電波時計の長波標準電波は周波数40kHzである。波長が長い電波は短い電波に比べて距離的に減衰しにくく、同じ送信電力でも遠くまでとどく上に、物の影にも回折して届きやすいので、このような目的に使われる。現在はほとんどGPSに置き換えられているが、OMEGA(10kHz)、LORAN(2MHz)などの船舶・航空機用のナビゲーションとしても使われている。OMEGA航法はGPSの普及に伴い現在は使用されていない。中波、中短波はAMラジオ放送や船舶・航空通信などに使われている。13.56MHz帯は、Pasmoなどの非接触型カードリーダ等に使われる。短波、超短波、極超短波はFMラジオ放送、テレビ放送などにつかわれている。1GHz付近の周波数は携帯電話に使われている。2.45GHz帯の周波数は産業科学医療用であり、ISM(Industrial Scientific and Medical)帯と呼ばれる。電子レンジや無線LANなどもこの周波数帯を用いている。このあたりの周波数からはマイクロ波と呼ばれ、波長の長さが数cmから数mmとなり、人間から見ても小さく思える程度となり、回路設計は低周波に比べて難しくなる。マイクロ波の使用用途は様々であるが、レーダーや広帯域移動通信など、様々な目的に使用される。現在は50-100GHz程度のミリ波、あるいはそれ以上の3THzまでのテラヘルツ波の研究開発が盛んである。3THzまでが電波法で定められる電波であるが、それ以上周波数が高くなると、遠赤外線、赤外線、そして人間の目に見える可視光、紫外線となる。光の分野では周波数よりも波長で表現すること多い。これらの波長帯は光と言われる。可視光をさらに波長ごとに分解すると図2に示すような虹色のスペクトルに分かれる。光よりもさらに波長が短くなると、X(エックス)線、γ(ガンマ)線となる。X線は身体の肉は透過しやすく、骨は透過しにくいのでレントゲン検査に用いられる。γ線は放射線の一部でもあり、原子炉などで発生したり、宇宙空間を飛んでいる(そのほとんどは地球の大気で消え、地上にはわずかしかとどかない)。アインシュタインの光量子仮説から明らかになったことだが、γ線はエネルギーが非常に高く、分子の結合を分離することもできる。したがって、生物のDNAの結合も切れ、細胞レベルで破壊されるので、細胞分裂の継続不能、あるいは奇形の発生などにつながり、生物にとっては危険である。


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