誘電体被覆導体平板線路のモード解析

Dec. 2001 Takuichi Hirano
structure
図のように無限に広いグランド板の上に比誘電率がεr1,εr2の無限に広い 誘電体板が層状に置かれている。外部の比誘電率はεr3である。 そのとき、この誘電体被覆導体平板線路内を伝搬するモードを計算する。

以下のモードのグラフィックでは電界の2乗の強さを示す。


1. TE(H)波

1.1 誘電体(1)-誘電体(2)-空気(3)の場合

Parameters
h1 8.02mm
h2 1.95mm
εr1 2.43
εr2 10.3
εr3 1.0

[2]の論文の例と同じパラメータが使われている。

Mode Cutoff frequency (GHz) Field distribution
TE1 3.4885 View
TE2 15.0253 View
TE3 24.5186 View
TE4 32.6734 View
TE5 44.7461 View
TE6 52.1554 View

2層目と3層目の境界を見ると、臨界角になっており、全反射している ことがわかる。3層目の界分布は見にくいのであえて描かなかったが、 真横に平面波が走っているような分布となる。 カットオフ周波数よりも少し高い周波数にすると+y(上)方向には減衰する。

1.2 空気(1)-誘電体(2)-空気(3)の場合

Parameters
h1 8.02mm
h2 1.95mm
εr1 1.001
εr2 10.3
εr3 1.0

1.1 のパラメータでεr1=1.001とした。 完全に1にすると数値的に問題があるためである (何度も考えたけどわからなかった)。

Mode Cutoff frequency (GHz) Field distribution
TE1 3.80278 View
TE2 25.8085 View
TE3 50.7148 View

1層目の空気層で界分布は減衰している。 なぜならば、3層目で減衰することがモード伝搬の条件となり、 そうすると必然的に同じ媒質である1層目でも減衰しなければ ならないからである。 誘電体内だけを伝搬するモードとなる。


Mathematica による計算&描画


2. TM(E)波

やっていないけど、MathematicaのTE波の解析において、 Hzの代わりにEzを仮定すればよい。
[参考文献]
[1] 中島将光: 「マイクロ波工学」, 6章, pp.182-186, 森北出版社, 1998
[2] C. Peixeiro and A. M. Barbosa, "Leaky and surface waves in anisotropic printed antenna structures," IEEE Trans., Antennas Propagat., pp. 566-569, vol. 40, no. 5, May. 1992.
[3] R. S. Elliott: "AN INTRODUCTION TO GUIDED WAVES AND MICROWAVE CIRCUITS", Prentice-Hall, Inc., New Jersey, pp.123-127, 1993.
[4] R. E. Collin: "FIELD THEORY OF GUIDED WAVES", IEEE PRESS, Second Edition, New York, pp.712-718, 1991.

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